世界遺産にも登録!沖縄のグスクの美しさの秘密【建物編】
Japaaan読者の皆さんこんにちは。ライターの小山桜子です。前回は世界遺産にも登録されている沖縄独特の「城(グスク)」について、その石垣の特徴や本州の戦国時代の城との違いについてご紹介しました。
世界遺産にも登録!沖縄のグスクの美しさの秘密【石垣編】
今回は実際に首里城にフォーカスし、正殿を中心とした建築物の特徴に迫ります!
中国紫禁城の影響
首里城の建物を見てみると、門や各種の建築物は漆で朱塗りされており、屋根瓦には高麗瓦や琉球瓦(赤瓦)が使われ、各部の装飾には国王の象徴である龍が多用され、あきらかに日本の他地域の城とは異なるをしています。これもやはり石垣と同様に中国の城の影響を大きく受けているためです。
また、縄張りを見ても戦乱のない琉球王朝時代に再建されていることもあり、本州の山城などとは異なり、軍事目的よりも政治の中心地としての役割を中心にして設計されているという特徴があります。
軍事よりも祭祀中心!?
首里城の縄張りを見ると、外郭と内郭という二重の城壁に囲まれ、御庭(うなー)と呼ばれる広場に面して立つ正殿・北殿・南殿・奉神門などの建物は内郭に集中しています。
内郭には多数の門がありますが、それらもすべて琉球独特の石積みの門や朱塗りの門で、本州の城門とは全く異なる造りです。
門の内側には司法や寺社宗廟関係の機関、家系図や城内の物品を管理する機関、琉球神道の祭祀などを行う施設「御嶽(ウタキ)」がある場合も多く、常に戦乱に備えた造りになっていた他地域の戦国時代の城郭とは全く性質を異にしている事が分かります。
中国との交易のための施設も
首里城の正殿の前には、家臣らが謁見したり中国からの冊封使を迎え入れたりするための御庭(うなー)と呼ばれる広場が設けられています。それを取り囲むように行政施設の奉神門、北殿、儀礼用の南殿が建てられています。
その至る所に龍の意匠がありますが、どの龍も爪の数は4本。中国では普通5本なので、琉球王朝が時の中国王朝に対して遠慮して1本減らしたと言われています。
このように琉球王朝の城には随所に中国王朝の影響を見る事ができ、だからこそ独特の美しい建築を見る事ができるのです。