本能寺の変、織田信忠の自害…織田家の衰退がなかったらその後の「天下取り」はどうなった?:2ページ目
信忠が自害した理由
それにしても、信忠が父親を救出しようと考えずに安土城へ退却していれば、自害することもなく、最終的に織田家は継続したかも知れません。当時彼が逃亡するのは不可能ではなく、織田家側で逃亡に成功した者もいました。
ではなぜ信忠は逃げなかったのかが問題になります。この理由としては2つの説があり、ひとつは逃げ切ったとしてもリスクがあったからというものです。
リスクとは、父の信長に罰せられる可能性のことです。もしも自分自身が父を救おうとせずに安土城へ退却し、それで信長が生還すれば、罰せられるかも知れません。
もう一つの説は、逃亡に失敗して明智軍に討ち取られた場合、後世の恥になると考えたからではないか、というものです。
両方の説を綜合して考えると、当時の信忠は、もし逃亡したとしても失敗すれば殺されて織田家の恥になるし、逃亡に成功したとしても、父の信長が生きていれば処罰されるかも知れない……という状況にあったということです。
これをもって「自害して当然」と言えるかどうかは分かりませんが、少なくともこれ以外には、彼が二条城へ退却して自害した合理的な理由は考えにくいということです。