ラブレターの代筆や販売まで!日本の愛情表現の歴史や込められた意味あれこれ【中編】:2ページ目
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恋愛マスター和泉式部と「身を知る雨」
平安時代の恋愛マスターといえば、和泉式部(いずみしきぶ)が一番にその名を挙げられるでしょう。恋愛の駆け引きが上手だったと言われています。たとえば彼女は、以下のような歌を残しています。
「しのぶらんものとも知らでおのがただ身を知る雨と思ひけるかな」
意味:貴方が私を恋い慕ってくださる涙の雨とも知らず「身を知る雨」かと思っていました
これは、彼女が敦道親王からもらった「おほかたにさみだるるとや思ふらん 君恋ひわたる今日のながめを(意味:こんな雨の日に、貴方はどうしているだろうか……ただの雨だと思っているかもしれませんが、貴女に会えない私の涙なのです)」という歌に対する返答です。
ここでカギとなるのが「身を知る雨」という表現。これは、在原業平が代作した歌に由来しており、雨が降っても会いに来てくれる人なのか、霧雨で約束をすっぽかす人なのかを見極めるという意味になっています。
敦道親王のまっすぐな愛情表現に、一歩上手の返しをした和泉式部という構図になっています。
いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
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