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古代信仰を現代に伝える「アラハバキ神祠」。アラハバキとは一体どんな神様なのか?

古代信仰を現代に伝える「アラハバキ神祠」。アラハバキとは一体どんな神様なのか?

相模国鎌倉郡(現代の神奈川県鎌倉市・逗子市・横浜市南西部ほか)について調べていたら、地図上に「アラハバキ神祠(神奈川県横浜市公田町627-14)」を発見しました。

アラハバキと言えば、古代から東北地方を中心に信仰されてきた土着神。あまり関東でお祀りされているイメージなかったのですが、どういう由来があるのでしょうか。

興味が湧いたので現地へ参拝したり、文献を調べたりなどしてみました。

アラハバキ神祠へ参拝してきた

現地はJR本郷台駅から南へ約1キロのところにあり、栄消防団第四分団第一班の詰所脇から細い道を上ってすぐです。

本当に注意しないと気付かないくらい細い道で、ちょっと入ると赤いひらがな文字で「あらはばきがみ」と小さな看板があります。

夕暮れ時に行くのはちょっと怖いですね(神社仏閣などの参拝は日中の明るい内に)。

階段を上っていくとすぐ分かれ道があり、真っ直ぐ行くと火の見櫓に、アラハバキ神祠はヘアピンカーブに左折します。

ここにも「あらはばきがみ」と表示があるので、間違えることはないでしょう。しかし、どうして赤い文字なんでしょうか。やっぱり薄気味悪いですね。

神祠はすぐ上がったところに鎮座しています。石造りの祠には梵字らしきものが刻まれた角石が納められ、小さくも人々の信仰を受けてきた風格を漂わせます。

心静かに参拝して下山すると、消防団詰所の反対側に流れる小川に「あらはばきはし」がかかっていました。

この神祠と橋については明治時代に編纂された『神奈川県皇国地誌 相模国鎌倉郡村誌』にそれぞれ記述があり、江戸時代以前から伝わってきたことが判ります。

荒伯耆社(アラハハキ)
同社(御霊社、式外村社)北方にあり

荒伯耆橋(アラハハキ)
北の方同村と入会字内耕地なる前者の稍(やや)上流に架し里道を通ず
長二間幅四尺土造修繕同上(※民費を以てす)

※『神奈川県皇国地誌 相模国鎌倉郡村誌』鎌倉郡公田村より(読み仮名や注釈など筆者)

この御霊社(ごりょうしゃ。鎌倉権五郎景正を祀る神社)は現存していませんが、記述を信じるならここから南にあったのは確かみたいです。

現在の「あらはばきはし」は往時の寸法(長二間≒3.6メートル×幅四尺≒1.2メートル)よりちょっと小ぶりながら、ここに架かっていたことを示すために造ったものと思われます。

ところで、アラハバキとはどんな神様なのでしょうか。

2ページ目 古代から信仰される道祖神・製鉄の神様【諸説あり】

 

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