千と千尋の神隠しにも出ていた?雅楽の舞「蘇利古(そりこ)」の実に奇妙な面の謎【その2】:3ページ目
竈はその家を表す
縄文時代の昔から、人は煮炊きをして食事をして生きていかなければなりませんでした。
“かまどが賑わう”と言えば、その家の繁栄を表します。
“かまどを破る”と言えば、破産する、身代をつぶすというように、その家の状況を表す言葉であり、竈とは家の幸不幸を表す、家の中心の場であるとも言えるでしょう。
そのためにも人々は古くから竈神を大切に祀り、繁栄や豊穣を祈り、災難のないよう願ってきたのです。
家の中で竈や台所は暗い印象があったので、影の領域・霊界と現世との境界として、竈神は両界の媒介をするという説もあります。
また、とても性格の激しい神といわれ、この神は粗末に扱うと罰が当たる、祟りをおよぼすといった伝承は強く残っています。
余談
一大ブームとなった漫画『鬼滅の刃』の主人公の名前は“竈門炭治郎”ですね。
この名前を主人公に名付けたのは“竈”が家の中心であり、霊界と現世との境界であって、人間が生きていく上で“竈”が命を育む一番大切な場所として名付けたのではないでしょうか。
さて、次回は、ついに蘇利古の面の謎に具体的に迫っていきます。
“千と千尋の神隠しにも出ていた?雅楽の舞「蘇利古(そりこ)」の実に奇妙な面の謎【その3】”に続きます。お楽しみに。