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洒脱でラップ調な狂歌で藩政を批判…江戸時代の高僧・仙厓義梵が詠んだ心意気

洒脱でラップ調な狂歌で藩政を批判…江戸時代の高僧・仙厓義梵が詠んだ心意気

エピローグ

から傘を 広げてみれば 天が下
たとえ降るとも みのはたのまじ

【意訳】唐傘があれば、雨降りに蓑(みの。雨具)がなくても大丈夫。そしてこの広い天下で、何も美濃(みの)国ひとつに執着することはない。

「ケッ。あんな暗君の下など、こっちからお断りじゃ!」

そんな強がりと言うか負け惜しみが込められた狂歌に、仙厓の意地が感じられます。

果たして美濃国を去った仙厓は天明8年(1788年)、博多の聖福寺に滞在。やがて盤谷紹適(ばんこく じょうてき)の法嗣(後継者)に指名されました。

今度は横槍も入らず、住職として天保8年(1837年)10月7日に遷化(せんげ。高僧が亡くなること)するまで人々を救ったり、得意な書画に筆を奮ったり活躍したということです。

要らぬ一首から美濃国を追放されてしまった仙厓和尚。しかし信念を貫き通せば、必ず認めてくれる人は現れるもの。

目先の事なかれ主義に堕することなく、社会を正す声を上げる仙厓和尚の勇気を見習いたいものです。

※参考文献:

  • 岡田武彦 監修『仙厓』西日本新聞社、1998年8月
  • 堀和久『死にとうない 仙厓和尚伝』新潮文庫、1996年4月
 

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