「鎌倉殿の13人」いよいよ落馬は近い?頼朝に死期せまる…第25回放送「天が望んだ男」予習:3ページ目
頼朝は「なぜ・どのように」落馬するのか
同年七月に稲毛三郎重成が妻武蔵国にして日比心地なやみしをさまさま医療するにその効なくつひに卒去せしかバ重成別離の悲しみに堪かね忽に出家す此女房ハ北条遠江守時政の娘にて頼朝卿の御台政子の妹なり同九年十二月稲毛重成亡妻の追福のため相模川の橋供養をいとなむ右大将頼朝卿結縁のために行向ひ御帰りの道にして八的原にかゝりて義経行家が怨霊を見給ふ稲村崎にして安徳天皇の御霊現形し給ふ是を見奉りて忽ちに身心昏倒し馬上より落給ふ供奉の人々助けおこしまいらせ御舘に入給ひ遂に御病に罹りさまゞヽの御祈祷医療てだてをつくすといへども更に寸効なし年すでに暮てあら玉の春をむかへ正治元年正月十一日征夷大将軍正二位前大納言右大将源頼朝卿病悩によつて出家し同き十三日つひに逝去し給ふ歳五十三治承四年より今年まで世を治ること二十年なり一旦無常の嵐にさらハれ有待の命を尽し給ふ内外の歎きいふばかりなし御台所政子この悲しさに堪がたく髪をおろして尼になり御菩提をとふらひ奉り給ふゐハれなりける事どもなり
※『鎌倉北条九代記』右大将頼朝卿薨去より
以上、頼朝の死について紹介して来ました。この怨霊説は『保暦間記(ほうりゃくかんき)』でも紹介されており、平家や義経など多くの人を滅ぼした頼朝に対する「悲惨な末路」への期待がうかがわれます。
※『保暦間記』が伝える頼朝の死:
【鎌倉殿の13人】まもなく描かれる?謎に包まれた源頼朝の死。実は怨霊に祟られた説も
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、果たして頼朝の死をどのように描くのでしょうか。脚本の三谷幸喜は基本的に『吾妻鏡』をベースに書いているため、落馬自体は外さないはず。
となれば「どのような理由で・どのように」落馬するのかがアレンジの焦点となるでしょう。
頼朝が死ぬまでが物語の前半ということですから、このクライマックスをどのように描くのか、次回放送も見逃せませんね!
※参考文献:
- 根村熊五郎 翻刻『鎌倉北条九代記』思誠堂、1884年2月
- 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月