男の愛なんかアテにならない!平清盛の寵愛を受けるも運命を狂わされた白拍子の女性たち:3ページ目
エピローグ
萌えいづるも 枯るるもおなじ 野辺の草
いづれか秋に あはではつべき※『平家物語』祇王より
【意訳】芽生える草も、しおれる草も、けっきょく枯れてしまうのはみな同じ。今は愛してくれても、やがて秋=飽きが来てしまうように。
もう誰も信じられない……思い詰めて自殺まで考えた妓王を、母と妹が懸命に説得。話し合った結果、母娘三人で出家して嵯峨往生院(京都市右京区。現:祇王寺)へ入りました。
するとそこへ、仏御前がやって来ます。
「……いったい何の御用?今さら詫びられても遅いんだけど」
アンタは今ごろ清盛の寵愛を受けて、幸せの絶頂でしょうに……妓王の僻みに、仏御前は応えました。
「いえ、私も出家いたします」
どうせ男の愛情なんてすぐに移ろい変わってしまう……そんな虚しいものに縋りつく人生に嫌気がさした彼女はその場で出家。たちまち和解して4人で念仏三昧の余生を送ったということです。
誰かの情けにすがるより、自分の意思と行動によって人生を切り拓いていきたい。そんな妓王たちの姿は、今も人々の胸を打ち、愛され続けています。
※参考文献:
- 光明正信ら『京都の散歩みち』山と渓谷社、2000年6月
- 高橋貞一 編『平家物語 上巻』講談社、1972年2月