「鎌倉殿の13人」源頼朝がついに挙兵を決意!第3回放送の振り返りと次回のポイント:2ページ目
「どこの誰かは存ぜぬが……」頼朝が挙兵を決意
このまま伊豆で平和な日々が過ぎればよかったのですが、そうは後白河法皇が卸しません。
ある晩、頼朝の夢枕に後白河法皇が立って「わしを救い出してくれ」と懇願。自分の悲鳴で目が覚めた頼朝の元へ、京の三善康信から
「以仁王の令旨を受け取ったすべての源氏を討伐するらしいから、早く奥州へ逃げるべし」
との書状が届きました。実際は「挙兵に加担した者のみを討つ」とのことでしたが、この早とちりが歴史を大きく変えるきっかけとなったのでした。
さぁ大変です。奥州へ逃げたところで身の安全が保証される訳ではありません。では挙兵して勝てるのか……その見込みは限りなく薄いでしょう。
しかし緒戦を突破すれば、坂東各地の勢力が結集して勝機が見えるかも知れない……そんな三浦義村(演:山本耕史)の助言を受けて、義時は動員できる兵を割り出すべく、いつぞや捨てられていた木簡を調べます。
木簡には納められた年貢の量が記され、そこから民の数≒兵の数を割り出し、勝算が見えて来ました。
一方、挙兵をためらう頼朝に苛立つ宗時は平氏政権を痛罵する文覚(演:市川猿之助)と出逢い、これを頼朝に引き合わせます。
しかし既に出禁となっていた文覚は追い返され、清盛に討たれた頼朝の亡父・源義朝のものとする頭蓋骨が放り出されました。
宗時「あの、こちら(頭蓋骨)は」
文覚「他にまだあるからいい!」
……結局ただの騙りだった訳ですが、政子は手にドクロをとり、これは平家に討たれた声なき者たちの怨みと挙兵を迫ります。
政子 これには平家と戦って死んでいった者たちの無念がこもっています。このドクロに誓ってください。今こそ平家を倒しこの世を正すと。
勝算は見えて来たものの、現時点では絵に描いた餅に過ぎず、大義がなければ人はついて来ない……死んだ以仁王の命令など、誰も聞きはしないでしょう。
「平家討伐を促す、法皇様の密旨でもあれば」
そんなものが都合よくあるわけなかろうと思ったら、安達盛長(演:野添義弘)が時政経由で預かっていた後白河法皇の密旨を懐から取り出し、これで頼朝の決意が固まります。
「法皇様がわしに助けを求めておられる」
そしてドクロに向かって「どこの誰かは存ぜぬが、この命、お主に賭けよう」と誓い、いざ挙兵の戦さ支度と相成ったのでした。
次回「矢のゆくえ」
以上、駆け足で第3回「挙兵は慎重に」を振り返ってきました。
以仁王の挙兵をきっかけに頼朝が始動。いよいよ源平合戦の幕開けが迫っています。
文覚が持って来たドクロが民の声を、義時が調べ上げた木簡が戦いの勝算を、そして後白河法皇の密旨によって大義名分を得た頼朝。
しかし戦さというものは敵にせよ味方にせよ相手がいることですから、なかなか当人たちのテンション通りにはいかないものです。
来週の第4回「矢のゆくえ」見どころは、旗上げ前に交錯する思惑や予定どおりに兵が集まらぬ焦燥感、そして放たれる「源家の平氏を征する最前の一箭(『吾妻鏡』)」。
平治の乱より20年の雪辱、今こそ果たすべし!……頼朝たちの感じたであろうカタルシスを偲びつつ、来週を楽しみにしています。
※参考文献:
- 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 前編』NHK出版、2022年1月
- 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全読本』産経新聞出版、2022年1月