こんな首相はもう現れまい…「ダルマさん」こと高橋是清の数奇かつ波乱に富みすぎる生涯:2ページ目
日本を救った男
このように高橋は、その人生全体において多くの逆境にぶつかっていますが、どれもめげることなく乗り越えています。「七転び八起き」「転んでもただでは起きない」高橋の人生は、よくそんな言葉で表現されます。
人に騙されやすく、なんとも浮き沈みの激しい人生です。しかし金を持ち逃げされても、また無一文になっても、その有能さゆえに人望もあり職に困ることもなく、彼はなんと日銀副総裁にまで上り詰めました。
そして後半生では、この日銀でのキャリアを起点にして、昭和の日本経済をリードする存在となっていきます。
彼の功績で大きなものとしては、日露戦争時に外債募集を成功させて約20億円の戦費を調達したこと、昭和金融恐慌を48日で沈静化させたこと、そして世界恐慌のさなかに世界最速でデフレ脱却を果たしたことの3つが挙げられます。
この3つの経歴だけを見ても、高橋の生きた時代がいかに激動の時期だったかが分かりますね。そして彼の功績もまた、非常にスケールの大きいものばかりです。ひと言で言えば、彼は3度も「日本を救った」と言っても過言ではないでしょう。
特に日露戦争の戦費調達については、当時は世界中から「日本が負ける」思われていたため、諸外国にとっては日本の国債を買うなど危険極まりないことでした。それでも高橋が粘り強く交渉したおかげで、資金を調達することに成功したのです。
その結果、日露戦争は日本にとって有利な形で講和を迎えたのでした。