アワビは絶対食べちゃダメ!戦国武将・千葉胤連の不思議な就業規則の理由とは?
皆さんの職場には、就業規則がありますか?
そこには労使ともに気持ちよく働けるためのルールが定められていることと思いますが、中には「何だこれ?」と思えるようなルールがあるかも知れません。
時は戦国、肥前国小城郡晴気城(現:佐賀県小城市)城主・千葉胤連(ちば たねつら)に仕官する者は、このように申し付けられたそうです。
「……当家に仕える以上、鮑(アワビ)だけは絶対に食ってはならぬ。よいな!」
ただ「はい畏まりました」と答えておけばいいのでしょうが、どういう訳か知りたい者が、何故か訊いてみたことがあるかも知れません。
「それはじゃな……」
鮑に助けられた千葉家のご先祖様
時を遡ることおよそ300年、胤連の祖先にあたる鎌倉幕府の御家人・千葉宗胤(むねたね)が、異国警固役として九州へ赴任する道中のこと。
乗っていた船が嵐に遭遇し、あまりの激しさに船底が破れてしまったそうです。
「ダメです!穴が大きすぎて浸水を防ぎ切れません!」
「もはやこれまでか……」
誰もが諦めかけたその時、どういう訳か船底の穴がみるみるふさがり、気づくと浸水がピタリとやんでいました。
「わぁい、助かった!」
しかし一体どういうことかと確かめてみると、船底にはびっしりと鮑が集まり、穴をふさいでくれていたのでした。
「不思議なこともあるものじゃ……」
千葉一族と鮑との間にどんな因果関係があったのかは分かりませんが、ともかく宗胤たちは無事に九州へ渡りつきます。
「鮑殿。この御恩、末代まで忘れませぬぞ」
そのため千葉家中において一族はもちろんのこと、その家来に至るまで、決して鮑を食わぬよう誓ったということです。
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