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無事に生きていることが幸せ…子供の成長を祝う「七五三」の由来は?

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「七」と日本人

また、「七」「五」「三」は陰陽道で縁起がいいとされている数です。

ところで、「七」という数字を重んじる点については、これは日本人のDNAにすり込まれている感覚なのではないかな、という気もします。

例えば奈良時代の刑法である養老律では、七歳以下の子供は処罰しないことになっていました。また平安時代の末期から鎌倉時代にかけて、七歳以下は両親が亡くなっても喪に服す必要はないとされていました。逆に、七歳以下の子が亡くなっても親は喪に服さない習慣だったようです。

昔の日本では、七歳児までは特別扱いされていたことが分かります。

特別扱いと書くと大切にされていたかのようですが、それは弱い存在であるがゆえです。その裏返しとして、飢饉の時には弱い子供から「間引き」されていました。特別扱いというよりも、良くも悪くも人間として扱われていなかったと言えるかも知れません。

そういえば「七つまでは神のうち」という諺も、実際には近代以降に作られたものだそうですが、「七つまでは神のうちなんだよ」と言われると、なるほどと納得してしまうところがあります。

七歳までの子供は特別な存在なのだと考えるDNAが、きっと私たちの中にはあるのでしょう。七福神に七草がゆ、七不思議に七光り、七人の侍……。「七」は確かに神聖な数字のように感じられます。

冒頭でも書いた通り、今ではごく当たり前のように行われている七五三。しかしその由来を紐解いてみると、昔の人たちが我が子の命を大切にし、純粋に「無事に生きている」ことそのものに幸せを感じていたことが分かってきます。

参考資料
火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)
-人口統計資料集(2021)-

 

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