川に投げ込み、引きずり回し…悪戯はむしろ歓迎?子供が大好きな神様「カクラサマ」とは:2ページ目
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カクラサマの由来
そんなカクラサマの木像は遠野郷のあちこちにあり、誰が彫ったのか、いずれも鉈で叩きつけたような粗削りで、辛うじて仏様の顔が判るかどうか、特に誰も信仰する者はいなかったと言います(なら、何で作ったのでしょうね)。
ところで、どうしてカクラサマと呼ぶのかと言いますと、漢字で書いて「神座様」、本来は神様が各地を旅する途中で休んだ「かみくら」を指したものが、やがてその場所を守る土地神となったようです。
子供と遊ぶのが大好きなのは、ずっとその場所にいなければならない退屈を紛らわせてくれるからでしょうか。
似たような伝承は遠江小笠郡大池村(現:静岡県掛川市)東光寺の薬師仏(『掛川志』)、駿河安倍郡豊田村(現:静岡県静岡市)軍陣坊社の神像(『新風土記』)、そして信濃筑摩郡射手(現:長野県南西部)弥陀堂の木仏(信濃奇勝録)などに残っています。
世の中、色んな人がいるように、神仏にも色々な性格のヒトがいて、本当は恭しく祀られる子供と遊びたがっている神仏が、他にもいるかも知れませんね。
※参考文献:
柳田国男『遠野物語』集英社文庫、2011年6月
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