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自分の価値は自分で築け!武士道バイブル『葉隠』が教える、他人の評価にブレない生き方

自分の価値は自分で築け!武士道バイブル『葉隠』が教える、他人の評価にブレない生き方

一二九 北條安房守殿、軍法の弟子共を集め、その頃江戸に時行たる人相見を呼び、剛臆の相を見せられ候。「剛はいよゝゝ勵むべし。臆は命を捨てゝ勵むべし。生れ來る處恥辱にあらず。」とて、一々伺はせられ候。その時、廣瀬傳左衛門十二三歳に罷りなり候が、相人の向ふに坐り、聲をいらゝけ、「己れ、臆病の相ありといはゞ、唯一刀に切り捨つべし。」と申し候由。

※『葉隠』巻第十より

……まぁ、つまり人相見など刀を突きつけられれば何とでも変わる程度のものであるから、下らぬことを気にせず、奉公に打ち込め……『葉隠』の口述者たる山本常朝(やまもと じょうちょう)はそう言いたかったのでしょう。

傳左衛門の振る舞いを見る限り、少年ながらにかなり豪胆な人物とも見えますが、思うに真の豪傑であれば、他人が何と言おうが「お前なんかに何がわかる」と笑い飛ばしたのではないでしょうか。

とは言え、武士が人前で「臆病者」との評価を下されて笑っている訳にも行きませんから、やはり傳左衛門の行動は、武士として正しかったと言えるでしょう。

他人に評されて自分の価値が決まるのではなく、自分の意思と行動によって他人に認められる価値を築き上げていく大切さを、このエピソードは如実に伝えています。

※参考文献:
古川哲史ら校訂『葉隠 下』岩波文庫、2011年12月
菅野覚明『武士道の逆襲』講談社現代新書、2004年10月

 

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