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なんと生涯で引越し93回!江戸時代の天才絵師・葛飾北斎は何から逃げ続けたのか?

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あとは野となれ、山となれ

葛飾北斎の天才ぶりについて、今さらあれこれ言うまでもないでしょうが、とかく彼は絵の才能にステータスを全振りしてしまったらしく、社会性とか常識というものを母親の胎内に置き忘れてきたようです。

とにかく「絵さえ描けるなら、後のことはどうでもいい」と言わんばかりの偏狂ぶりで、せっかく浮世絵の版元から原稿料が入っても、カネの包みは部屋の片隅(ひどければクズカゴ)に放り投げておくばかり。

食事なんて作る手間が勿体ないのでたいてい出前ですませてしまい、食った包みなどはその辺に散らかして、あれよあれよとゴミ屋敷に。

店の掛け取り(ツケの集金者)がやってくると、「カネならその辺に転がっているだろう」と指さすので、仕方なくゴミの中からカネを発見する始末。

ゴミの中から発掘したカネが多ければ懐に入れてしまい、足りなければその分を改めて催促に来たといいますが、それでも気にしなかったから、よほどカネ儲けに興味がなかったのでしょう。

とまぁ、絵を描く以外はどうでもいい北斎は、当然のごとく満足に風呂も入らず、掃除もまったくしないので、部屋はどんどん汚れるばかり。

そしてついにゴミ屋敷すぎて耐えられなくなったら引っ越しをする……その手間を考えたら部屋の掃除くらい大した手間でもなかろうにと思ってしまいますが、どうしてもそれは嫌だったようで、性懲りもなく引っ越しを繰り返します。

(ひどい場合は一日に3回も引っ越したそうですが、それは新居が気に入らなかったのか、あるいは北斎の悪評を知っていた大家さんから入居前に追い出されてしまったのかも知れません)

原状回復?そんなものは知りません。ゴミもカネも一緒くたに置き捨てたまま、ひと抱えの画材や手回りだけ持って、いそいそと新居へと急いだのでしょう。

「あとは野となれ、山となれ」

残された大家さんとしてみればたまったものではありませんが、ゴミ屋敷の中から少なからぬカネや描き損じ(後でプレミアがつく?)が出て来るなど、意外と宝探し気分だったかも知れませんね。

3ページ目 → 自業自得?ゴミ屋敷から逃げ回った人生

 

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