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かつてお稲荷さんには「ネズミの油揚げ」を供えていた!?日本人の食とキツネの関係

かつてお稲荷さんには「ネズミの油揚げ」を供えていた!?日本人の食とキツネの関係

そんなお稲荷さんと油揚げの関係から登場したのが、稲荷寿司。甘辛く煮た油揚げの中に、酢飯を詰めたお寿司です。

稲荷寿司について記載してある最古の史料として、江戸時代後半の江戸・京都・大阪の風俗、事物を説明した百科事典的な書物『守貞謾稿(もりさだまんこう)』というものがありますが、それによれば天保末期には「稲荷鮨」「篠田鮨」として販売されていたようです。

篠田鮨としたのは、葛の葉の伝承と結びつけられていたのかもしれません。

その稲荷寿司の影響を受けて誕生したのが「きつねうどん」。これは、明治時代に大阪のうどん屋さんが稲荷寿司をヒントに元々、うどんと油揚げを違う皿で出したのが始まりといわれています。

その後、うどんの中に油揚げが入った状態のものが現れ、それが今日私たちのしっているきつねうどんの形として定着しました(別の説ではうどんの中に入ってる油揚げの様子がきつねがうずくまる姿に似ていることによるとの解釈もあるようです)。

このような経緯からすっかり油揚げにはきつねのイメージが定着してしまったようで、現在においても我々日本人は、油揚げのことを「きつね」という風になりました。お稲荷さんと我々日本人は、食を通しても、切っても切れないご縁があるのですね。

参考

  • 五来 重監修『稲荷信仰の研究』(山陽新聞社 1985)
  • 西村元三朗, 川上行蔵 日本料理由来事典』(同朋舎出版 1990)
 

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