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戦国乱世から太平の世へ…新時代に適応した忍者・鳶沢甚内の転職エピソード

戦国乱世から太平の世へ…新時代に適応した忍者・鳶沢甚内の転職エピソード:2ページ目

ライバル・向崎甚内を制する

「お奉行様、あっしがヤツの居所をお教えしやすぜ……」

その名は下総国向崎(現:茨城県守谷市)の盗賊・向崎甚内(こうさき じんない)。

これまた出自不明の胡散臭い人物ですが、一説には「元は武田(たけだ)の忍びで、高坂弾正(こうさか だんじょう。昌信)の子or孫」と称したとかしないとか。

「御用だ!」「御用だ!」

「あの野郎、同業者を売るとは仁義ってモノを知らねぇのか!」

かくして慶長8年(1603年)に風魔小太郎は捕縛・処刑されてしまいましたが、鳶沢甚内はたまたまアジトに不在、運よく逃れることが出来たそうです。

「畜生め、覚えておきやがれ……!」

その後、競合相手を次々と密告し、奉行所との癒着によって勢力を伸ばした向崎甚内は「盗賊稼業を始めるなら、まずは彼へのあいさつから」と言われたか否か、かつての大泥棒・石川五右衛門(いしかわ ごゑもん)を彷彿とさせたと言います。

しかし、行政当局からすれば彼もまた取り締まるべき盗賊には違いありません。

また、全国各地で捕まった盗賊たちが(そう言えば赦される、少なくともハッタリが効くと思ったか)次々と「向崎甚内の身内だ」「手下だ」などと供述し始めました。

「このまま向崎のカリスマを看過すれば、いずれ手がつけられなくなってしまう」そう危惧した奉行所は、向崎甚内の捕縛に本腰を入れます。

それを手引きしたのが鳶沢甚内……ということで慶長18年(1613年)、向崎甚内は市中引き回しの上で磔(はりつけ)にされ、めでたく風魔小太郎の仇討ちを果たしたのでした。

3ページ目 盗賊から古着屋へ商売替え

 

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