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大河ドラマ「青天を衝け」で渋沢栄一の人生を変えた男・平岡円四郎の生涯

大河ドラマ「青天を衝け」で渋沢栄一の人生を変えた男・平岡円四郎の生涯

終わりに

「私を一橋家に推薦して慶喜公に御仕へ申すやうにして呉れた人は平岡円四郎であるが、この人は全く以て一を聞いて十を知るといふ質で、客が来ると其顔色を見た丈けでも早や、何の用事で来たのか、チヤンと察するほどのものであつた。然し、斯る性質の人は、余りに前途が見え過ぎて、兎角他人のさき回りばかりを為すことになるから、自然、他人に嫌はれ、往々にして非業の最期を遂げたりなぞ致すものである。平岡が水戸浪士の為に暗殺せられてしまうやうになつたのも、一を聞いて十を知る能力のあるにまかせ、余りに他人のさき廻りばかりした結果では無からうかとも思ふ。」
デジタル版「実験論語処世談」平岡円四郎と藤田小四郎

【意訳】
私を徳川慶喜に推薦してくれた平岡さんは「1を聞いて10を知る」天才肌で、客が来たらその顔色を見るだけで用件を察してしまうほどだった。
ただし、こういうタイプはあまりに先が見通せてしまうものだから、それがかえって嫌味になって人から嫌われ、往々にして非業の最期を遂げるものだ。
平岡さんが水戸浪士に暗殺されてしまったのも、そうした才智におごってしまった結果じゃないかと思う。

……要するに「優秀過ぎて嫌味になり、人から嫌われて不幸な最期を遂げる」という教訓をもって語られた円四郎の生涯は、渋沢さんらしく淡々とバッサリ批評されています。

しかし、そんなクセのあるキャラクターも平岡円四郎の持ち味であり、晩年の渋沢さんみたいに万事調和した人格者よりも、よほど見ていて面白いというもの。

大河ドラマ「青天を衝け」ではどんな円四郎がどんな活躍を魅せてくれるのか、堤真一さんの好演に期待したいですね!

※参考文献:
朝日新聞社 編『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞社、1994年11月
小貫修一郎 筆『渋沢栄一自叙伝』渋沢翁頌徳会、1938年2月

 

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