渋沢栄一記念財団が、日本近代化の様子がわかる「実業史錦絵」をオンラインで多数公開中:2ページ目
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「実業史錦絵絵引」の「絵引」は敬三の造語
「実業史錦絵絵引」の「絵引」とは、敬三が作った言葉です。
民俗学者でもあった敬三は、「字引(=辞書、辞典)」の絵バージョン、「絵引」を作れないかと考えました。
そうして作成されたのが『絵巻物による日本常民生活絵引』です。平安・鎌倉・室町時代の主要な25の絵巻物から、庶民生活の一場面を取り出し、絵に描かれているものに番号をつけ、現代語に訳した名称をつけるとともに各絵巻物の成立、内容、詞書を詳説しました。また、使われた名称を集めて分類し、言葉から絵を引けるように索引をつけました。
こうした歴史を踏まえ、実業史錦絵に絵引の方法論を当てはめたのが「実業史錦絵絵引」です。
サイト内の「絵引ギャラリー」では、実業史錦絵シリーズのうち現在「衣喰住之内家職幼絵解之図」が公開されています。
絵に登場する人物、道具全てに番号が当てられ、それぞれの解説が見られるようになっていて、敬三の著書『絵巻物による日本常民生活絵引』を彷彿させます。
なお、「日本実業史博物館」設立の一環として集められた錦絵は、人間文化研究機構国文学研究資料館に収蔵されており、「日本実業史博物館コレクションデータベース」で全シリーズを見ることができます。
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