日本画でお花見!桜は一瞬だから名残惜しい、思わず見とれる桜の名画を紹介
桜の時期、終わってしまいましたね!桜って、本当に一瞬だから名残惜しい。それに、今年はお花見に行けなかった方も多いかと思います。
そこで、家でもお花見気分を味わえる、桜の日本画6点を紹介していきたいと思います!
日本屈指の桜の名所《吉野》奥村土牛
桜の名所として知られる、奈良県の吉野を描いた作品です。
ほのぼのとした春らしい色使い、霞がかったような満開の桜、やわらかな雰囲気が素敵な作品です。
明治・大正以降、従来の日本画の最大の特徴の一つ「輪郭線」をなくす動きが出てきました。
この絵も明瞭な輪郭線はありませんが、境界線をあえてぼかしつつも、奥行きと質感を感じさせる描き方をしています。これは薄い色を100回も200回も塗り重ねることで、非常に微妙な色加減に成功しているそうです。
作者・奥村土牛(おくむら とぎゅう)[1889-1990]は、10代から101歳の晩年まで、生涯絵を描き続けた画家として知られています。
土牛がこの絵を描いたのは、なんと88歳の頃。待望だった吉野を訪れた際「何か荘厳の中に目頭が熱くなった」との思いを絵にしました。
この地の桜がもつ歴史の重みが画家の心を捉え、土牛は「何か歴史画を描いて居る思いがした」とも語っています。
幻想的な朧月夜《花明かり》東山魁夷
京都・円山公園の枝垂れ桜と満月が出会った一瞬を描いたもの。
桜に映る月の光が、桜の美しさをいっそう際立て、幻想的に見せています。
現代の作品らしく、日本画には少ない光の表現をふんだんに取り入れているのが特徴です。「写実的かつ幻想的」という独特の世界観は、一度見たら忘れられません。
この絵を描いたのは戦後を代表する日本画家・東山魁夷(ひがしやま かいい)[1908-1999]。
生涯一貫して自然の美しさと向き合った、風景画の画家として有名です。
東山魁夷の作品はどれも写実性と幻想的を両立させた、特徴のある作品となっています。
長野県に東山魁夷専門の美術館があるので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください。