「紅葉」と名乗る美しい女性は、実は妖術を操る「鬼」だった……
源経基の奥方に呪いをかけ病へと追い込んだため、京の都から信州の戸隠に追われた鬼女・紅葉。
徐々に盗賊を手なずけ頭となり金品を強奪し、人を殺す恐ろしい鬼へと化していきました。そんな紅葉を成敗すべしと、京の都から討伐隊が送られます……
ここまでの鬼女紅葉のお話は【前編】をぜひご覧ください。
紅葉に染まる山の「鬼伝説」。妖しく恐ろしくも美しい鬼女・その名は紅葉(もみじ)【前編】
2020年、空前のブームとなったアニメ「鬼滅の刃」の影響で、この現代社会にて一躍脚光を浴びることになった「鬼」。一般的には、恐ろしく巨大な姿のイメージがある鬼ですが、地域によっては、妖しく美し…
都に焦がれ盗賊へと化した紅葉
さて、呪いの術を使ったことで京の都を追放された紅葉。
村では、紅葉を不憫に思った村人たちが親切に世話をした。
紅葉も村人の病を治すなどして、しばらくは平和な日々が流れた。
しかし、都の暮らしに慣れている紅葉は山暮らしに満足せず、夜中に男の格好をして強盗を働くように……
そして荒くれ者の盗賊団を手下にし、女の鬼を従え、ますます悪事を働くようになった紅葉は、人を喰らい生き血をすする鬼と化してしまった。
【人を喰らう鬼女の噂を聞いた天皇が征伐に乗り出す】
人喰い鬼女の噂を聞きつけた京都の冷泉天皇は、紅葉征伐のため平維茂を信州へと送り込む。
最初は、紅葉が操る妖術に歯が立たなかった平維茂。
そこで、神仏の力にすがろうと別所北観音に17日間参籠し、必勝祈願をしたところ、ある日夢枕に立った白髪の老僧に「降魔の剣」を授かる。
今度こそ!と紅葉と戦った維茂は、剣の力で妖術を破り紅葉の首をはねることに成功。
紅葉33歳。山々が見事な紅葉に染まる晩秋のことだった。