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16歳とは思えない風格!悲劇のイケメン貴公子・平敦盛の美しすぎる最期【下】

16歳とは思えない風格!悲劇のイケメン貴公子・平敦盛の美しすぎる最期【下】

泣きながら敦盛の首を……

「おい……熊谷の、大丈夫か!加勢致すぞ!」

一見すると心から直実の安否を気遣い、必要ならばすぐにも助けようとしているようですが、こうして聞こえよがしに声をかけておくことで、後日の論功行賞で

「あの時、それがしも直実に加勢したからこそ敵将(敦盛)を討てたのだ」

と主張し、あわよくば恩賞の何割かでもシェアしよう……そんな狡猾な武士も、決して珍しくはありませんでした。

※もちろん現地でも「それがしのお陰で敵将に勝てたんだよな!……なぁオイ、そうだろう?」と脅しをかけて言質をとっておきます。拒絶すれば数を恃みに殺してしまい、手柄を横取りする事もあったようです(何せ戦場ですから、殺した仲間は「名誉の討死」として処理すれば事足ります)。

土肥や梶原の軍勢に対して、直実は(直家を後方に退がらせたので)たった一人……ここで敦盛を逃したところで、彼らに殺されるのがオチ。下手をすれば、自分まで「平家一門と内通」した嫌疑をかけられかねません。

「……御免!」

直実は泣きながら敦盛の首を掻き切ると、哀しみを暴発させたのか、あるいは友軍に対してアピールするかのように咆哮を上げながら、敦盛の首級を天高く掲げたのでした。

(あぁ……武士ほど辛い生き方はない……親子の情愛を引き裂いてまで、いったい何が得られると言うのか……あまりにも虚しい……)

そんな思いが、後に直実を出家の道へ進ませることとなるのですが、それはまた別の話。

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