信長だけが織田じゃない!マイナー織田家に仕えて信長に対抗した戦国武将・角田新五【中】:2ページ目
弟の訃報に怒り狂う勘十郎信勝と、意外と冷静な信長
一方その頃……。
「「何っ、喜六郎が討たれたと!?」」
秀孝の訃報に接した信長と、その実弟・織田勘十郎信勝(かんじゅうろう のぶかつ。信行)ですが、反応はそれぞれ違ったものでした。
「おのれ孫十郎!腰抜けの分際で我が弟を殺(あや)めようとは……覚悟は出来て居ろうな!」
怒り狂った信勝は、さっそく家老の柴田権六郎勝家(しばた ごんろくろうかついえ)と津々木蔵人(つづき くろうど)に兵を与えて攻め込ませます。しかし信長の対応は、意外にも冷静なものでした。
「事情を聞けば、叔父御を嘲弄した喜六郎の非は明らか……とは言え、我が身内を殺されて何もせぬでは示しがつかぬ」
……と、家臣の飯尾近江守定宗(いいお おうみのかみさだむね)と飯尾茂助尚清(いいお もすけひさきよ)父子に兵を預け、柴田たちの後から守山城へ向かわせたところ、既に柴田らは城下に火を放って散々に暴れ回り、城攻めを開始していました。
城攻めは一進一退「ここらが潮時」立ち上がった佐久間信盛
「よいか……守山城に着いても、すぐには攻めるな。血気に逸る柴田らに先鋒を任せ、状況を冷静に判断せよ」
そう信長より言いつかっていた飯尾父子は守山城下の後方に布陣。攻防の様子を観察しては、信長へ逐一報告を送ります。
(……柴田らの勝利が確定したなら、加勢と称して柴田らを背後から城内へ押込み、城方ともどもまとめて滅ぼせ。もしも城方が圧倒的優勢であれば、城内へ密使を送って内通し、城の内外から柴田らを滅ぼせ……)
当時既に信長と信勝の仲は険悪で、共に守山城を攻めてはいても「敵の敵は味方」とはならず、隙あらば滅ぼそうと互いに狙っていたのでした。
さて、肝心の守山城は一向に陥落する様子もなく一進一退を繰り返し、このままだと戦線が膠着して長引くばかりと思われます。
「……ここらが潮時にございますな……」
そう言って立ち上がったのは、飯尾父子の軍監(ぐんかん。戦目付)として参陣していた佐久間右衛門尉信盛(さくま うゑもんのじょうのぶもり)でした。