信長だけが織田じゃない!マイナー織田家に仕えて信長に対抗した戦国武将・角田新五【中】:3ページ目
信長の異母弟・織田信時を新たな守山城主に迎える
「……和睦?」
謝罪が受け入れられず、ボロボロになりながら守山城を防御していた新五たちにとって、信盛からの申し出はまさに天恵と言えました。
「左様……条件としては、安房守(あわのかみ。信長の異母弟・信時)様を守山城主に迎えることじゃが……如何であろう?」
新五は、隣にいる喜左衛門と顔を見合わせました。後先を考えず、信長怖さに家臣を見捨てて逃げ出すような信次を再び主君と仰ぐ気にもなれない……となれば、二人の答えは一つでした。
「解り申した……これより我ら一同、安房守様を守山の城主とてお迎え申し上げまする」
計画通りの満額回答を得た信盛は、ゑびす顔で新五の手を取ります。
「おぉ、よくぞご決心なされた……これで無駄な血が流されずに済み申す……」
かくして守山城を守り通した新五たちは、織田安房守信時を新たな城主として迎えることとなったのでした。これで一件落着かと思いきや……話(トラブル)はまだまだ続きます。
※参考文献:
和田裕弘『信長公記―戦国覇者の一級史料』中公新書、2018年
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』吉川弘文館、2010年