「サ」は山の神を表し「クラ」は神が憑依する依り代を表す ー 日本人と花見の文化1:2ページ目
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「サ」は、山の神を表し、「クラ」はそんな神様が依り憑く依り代を意味した日本語でした。少しずつ暖かくなっていくに従い、つぼみをふくらませ、色づいていく様子を、人々は「山の神が下りてきている」と考え、特別な花として大事にしてきたのです。
『古事記』『日本書記』に登場する神話のヒロインを木花咲耶姫といい、桜の化身とされています。神々の中でも最も美しい女神とされ、富士山に住む「山の神」でもあります。
天照大神の孫である邇邇芸命がこの世に天下った際、大山津見神は自らの娘二人を差し出しました。それが醜い姉・岩長比売と美しい妹・木花咲耶姫。ところが、邇邇芸命が妻として選んだのは美しい妹のほうだけでした。
姉も一緒に選んでいれば、岩のように永遠に生きながらえることが出来たのです。ところが妹は木の葉のようにすぐに散ってしまう短命の存在。そのため、邇邇芸命の命も寿命が生じ、はかないものとなってしまいました。
以後、邇邇芸命の子孫である皇族にも寿命が生じるようになったと伝えています。
参考
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