刺客となった悲劇の皇后!日本神話のヒロイン・狭穂姫命と兄の禁断の関係【上】:2ページ目
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絶好のチャンス到来!垂仁天皇の運命は?
数日後、そんな謀略など露知らず、垂仁天皇はいつものように愛する狭穂姫命と戯れていました。
「あぁ……そなたと共に居ると、政務の疲れなど霧の如く消え失せ、時が経つのも忘れてしまう……ふわぁ……少し眠くなったのぅ……」
「なれば主上……わたくしの膝などお使いあそばせ……」
「おぉ、そなたの膝枕は夢のような心地よさ……いっそこのまま覚めないで欲しいくらいじゃ……」
「……まぁ、お上手……されば主上、しばしお休み下さいませ……」
政務を執る時の謹厳実直さはどこへやら、まるで母に甘える童のようにあどけない表情で、垂仁天皇はたちまち寝息を立てます。
さぁ、今が暗殺のチャンス。狭穂姫命は、懐から短刀を取り出すと、音もなく鞘を払ったのでした。
※1:『日本書紀』での表記。『古事記』では沙本毘売命。
※2:『日本書紀』での表記。『古事記』では沙本毘古命。
※参考文献:
福永武彦 編『現代語訳 古事記』河出文庫、2003年8月5日
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