昔ながらの方法で搾る美味な日本酒。栃木県 片山酒造
美味しい日本酒は好きですか?
日本酒の味を左右する要因をご存知でしょうか。よく言われる「水」「お米の種類」「研き加減」のほかに、とても重要なポイントがあります。
それは「搾りの圧力加減」。「搾り」とは、熟成した「もろみ」をお酒と酒粕に分離させる作業のこと。この工程でなるべく圧力をかけずに搾るとクリアで雑みのない美味しい日本酒を造ることができます。
この「搾り」をいまだに昔ながらの方法で行っている蔵のひとつが、栃木県にある片山酒造さん。こちらでは佐瀬式という方法を創業以来続けられています。
佐瀬式は「もろみ」をひとつひとつ、人の手で袋詰めし、丹念に積み重ねてから上からゆっくりと圧をかけて搾る方法。当然一回では少量しか搾り出せないため、この作業を何度も何度も繰り返します。コストも手間もかかるこの方法で作られた日本酒は、びっくりするくらいクリアな味わい。
特に圧力をかける前に自然と染み出た希少な部分だけを、ろ過も熱処理もせずに瓶詰めした完全な生原酒「柏盛 素顔」は日本酒が苦手な方でもするりと飲めてしまいそうな美味しさです。
これが佐瀬式。丁寧に説明してくださるのは六代目当主片山貴之さん。
日光東照宮のお神酒も納めているとか。日本に数軒しか残っていないという氷室が二軒もあるこの地の水のよさも欠かせません。
あくまで地元に根付いた蔵でいたいとの想いから、直販にこだわるこちらの酒造。知る人ぞ知る蔵である一方、365日見学を受付け、きちんと造った日本酒のよさを啓蒙されています。
なんと搾りの時期にはそれまでも見せて頂けるのだそう!その噂を聞きつけて国内のみならず、海外からも搾りの視察や見学にこられるのだそうです。
日本にはたくさんすばらしい日本酒があり真摯に酒造りをされる無数の蔵があります。このような想いをこめた活動をひとつのきっかけとして、単なる「ライスワイン」でない日本酒のすばらしさを世界中の方に知ってもらえたらいいですね。