「ずっと、あなたのそばにいます」大切な者たちへ永遠の愛を歌った「海ゆかば」が泣ける!:3ページ目
エピローグ
愛しい者たちと離れたくない。誰も傷つけたくない。戦いたくない。
それでも武人たちが決断したのは、決して偉い人の命令なんかではなく「愛しい者たちを、自分の手で守りたい」その一心によるものでした。
もし自分が逃げてしまったら、この愛しい者たちを誰が守ってくれるだろうか。
「私は生命ある限り、大切なあなたをお守りする」
その誓いを嘘にしてしまったら、私はあなたに顔向けできないし、そんな自分を赦すことができない。
だから心は、心だけは大切なあなたのそばに寄り添いながら、私は戦場へ行くのです。
どうか愛しいあなたよ、一度も振り返らない私を見て、薄情だなどと思わないで欲しい。私の背中は泣いている。愛情の深いあなたのことだから、きっと解ってくれると信じている。
どんな最期を遂げようと、私は決して後悔しない。なぜなら、心はずっと大切なあなたのそばに寄り添っているから。だから……どうか悲しまないで欲しい。
「征ってきます」
……そんな思いが、この短い歌に込められていることを思うと、涙をこらえずにはいられません。
もし良かったら、一度「海ゆかば」を聴いてみて下さい。できれば、口にしてみて下さい。
かつて武人たちが望んだ平和の尊さ、愛情の深さを感じることができるでしょう。
※参考文献:
新保裕司『「海ゆかば」の昭和』イプシロン出版企画、2006年12月