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天下人もクジラもみんな好物!昔から親しまれている「蕎麦ジョーク」を集めてみました!

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「もり蕎麦はごめんだ」

さて次は、江戸後期の笑話集『松魚風月(かつをふうげつ)』から、こんなジョーク。

ある時、鯨(くじら)が久しぶりに江戸湾・品川まで遊びに来ました。鯨は魚たちの大親分であることから、みんなこぞって大歓迎です。

「此所へよくこそ、親分は来たりしぞ。なんぞ馳走をせん、のぞみ給へ」

【意訳】これは親分、ようこそおいで下さいました。これよりお食事をご用意致しますゆえ、何なりとお申しつけ下さいませ……。

すると鯨は鷹揚に答えて言います。

「いやいやみちみち(道々)も、鰯(いわし)をまんと食べて来たりしゆゑ、外のものはのぞみなきゆゑ、蕎麦にてもふるまはれ(振る舞われ)よ」

御馳走なら品川にやって来る道中、ごまんと鰯を食べて来たので、今はサッパリした蕎麦が食べたい……鯨がそんなリクエストを出します。

「お安い御用でございます(蕎麦はなによりやすき事)」とさっそく厨房へ走ろうとする魚たちを呼び止めて、鯨は念を押しました。

「そうだ、くれぐれも『もり』はいかんぞ。もう『もり』はこりごりだ……(コレかならず、もりはごめんだ)」

これは「もり蕎麦」と、捕鯨に使う漁具の銛(もり)をかけたジョークですが、品川に鯨がやって来たという設定は寛政十1798年5月1日、鯨が品川沖の浅瀬に座礁したエピソードに由来しています。

「此日品川沖より鯨上る。長九間壱尺。高一丈余ありとぞ」

『続徳川実紀』

体長約16.5m、体高約3.03mという巨躯は、おそらく鰯を主食とするナガスクジラであろうと推測されていますが、もしかしたら鯨の親分が「まんと食べて来たりし」鰯が、解体した胃袋の中から出てきたのかも知れませんね。

3ページ目 やっぱり 〆は「かけ蕎麦」で

 

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