天下人もクジラもみんな好物!昔から親しまれている「蕎麦ジョーク」を集めてみました!:3ページ目
やっぱり 〆は「かけ蕎麦」で
さて、天下人も鯨も大好き?な蕎麦ですが、最後は最もシンプルな「かけ蕎麦」にまつわるジョークをまとめていくつか。
【一】
出前の注文を受けた蕎麦屋の小僧が、岡持ちを担いで全力疾走で配達したところ、当然どんぶりはひっくり返って蕎麦もぐちゃぐちゃ。お客さんはカンカンに怒りました。
「何だって、そんな乱暴に持って来やがるんだ」
「だって、注文が『かけ(駆け)蕎麦』だったから」
【二】
これに懲りた小僧、今度は出前の注文を受けてゆっくりゆっくり歩いて運んだところ、あまりに遅すぎて蕎麦がでろでろにのびてしまいました。やはりお客さんは怒ります。
「何だって、そんなにチンタラ持って来やがるんだ」
「……掛け(ツケの支払い)が延びたら喜んでくれるかと思って」
【三】
今度は早すぎず遅すぎず、きちんと出前した小僧。食べ終わった丼と代金を回収に行ったら、丼の中にカネがありません。
「お客さん、こういうのは空いた丼に蕎麦のお代を入れておくもんですよ」
「いやいや、俺が食ったの蕎麦は『掛け(ツケ)』だから、支払いは晦日(みそか。月末)に頼むよ」
……おあとがよろしいようで。
※参考文献:
鈴木健一『風流 江戸の蕎麦 食う、描く、詠む』中公新書、2010年9月25日