縁起モノへの執着すごい(笑)縁起を担ぎまくる江戸っ子たちが楽しんだ「新年の迎え方」を紹介:3ページ目
一、新春の勝負で開運出世!
もしも妻が退屈するようなら、負けても腹が立たない程度のゲーム(勝負ごと)を楽しむのがいいようです。
勝てば「幸先がいい」と喜び、負けても「厄が落とせた」とこれまた喜べるいいことづくめ。
お金を使うのは買い物としてではなく、名目は何でもいいからめでたいことのご祝儀として散財するのが吉とのことです。
一、初笑いで運気を上昇!
昔から「笑う門には福来る」というように、笑っている家には何かと幸運が舞い込むもの。
そこで新春初笑いと行きたいのですが、笑いの中でも猥談で笑うのがなぜか一番効果があるようです。
「いやだよもう、アンタったら……!」夫婦仲良く盛り上がるのはいいのですが、そのまま房事(こと)に及ぶと早く老け込んでしまうため、お楽しみは初夢にとっておきましょう。
一、宝船でよい初夢を!
初夢が一月何日の夢?なのかについては地方によって様々ですが、江戸では元日の夜に寝て見る夢を言うそうです。
枕の下に宝船を仕込んで寝ると、よい夢を運んできてくれるそうですが、宝船とは寶(宝の旧字体)を変形させて逆さに描いた宝船の絵に、回文を書き添えたもの。
「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」
(長き夜の とおの眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良き哉)
よく見ると、上から読んでも下から読んでも同じになっている上、しっかりと縁起を担いでいます。
寶をひっくり返した宝船の絵と言い、こういうのを考えつく江戸っ子の柔軟な発想には驚かされます。
終わりに
以上、江戸っ子たちによる「新年の迎え方」を紹介させて頂きましたが、どれも簡単にできるものばかり。
令和二年も、柔軟な発想であまりお金をかけず、それでいてユーモアを忘れずに生きていきたいものです。
それでは、よいお年を!
※参考文献:
杉浦日向子『一日江戸人』新潮文庫、2005年3月27日