これは興味深いぞ!明治〜昭和の日本のポスター文化を紹介する展覧会「たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代」:2ページ目
「図案」という概念
大正から昭和初期にかけて、写真製版をはじめとする印刷技術の発展と、留学生からの情報や海外の雑誌などに掲載された作品の影響で、「図案=デザイン」の概念を導入したポスターが製作されるようになりました。三越呉服店や上野~浅草駅間地下鉄ポスターで知られる杉浦非水らが「図案家」として登場し、商業美術の時代を切り開いていきました。
大蔵省専売局では、こうした商業美術の発展を受け、杉浦非水に製作依頼し、弟子である野村昇をパッケージやポスターの製作に関わらせたりしました。明治時代のポスター製作では、原画を忠実に石版に描き写すことが画工に求められましたが、写真技術の発達にともない写真をそのまま使って製作できるようになったことで、図案家たちは写真とは違った、手描きならではの面白さや構図を追求しました。
このコーナーでは、杉浦非水、野村昇の作品と合わせ、この頃登場した写真を使用したポスターなどを紹介します。
ほかにもさまざまなポスターを紹介
ポスターは時代を写す鏡
商品宣伝のためではなく、戦意高揚のために作られた戦時下のポスターや、戦後のヤミたばこ防止を訴えるポスターなど、時代を写すポスターを展示します。
たばこポスター全盛期(2) 名コピーとグラフィックデザイン
1950年代後半から1960年代、高度成長期を迎え、大量生産、大量消費の社会へと転換する中でさまざまな広告活動が展開されました。
このコーナーでは、名コピーが散りばめられたポスターや、秋山庄太郎や樋口忠男といったフォトグラファーによる美しい写真が使用されたポスターなどを展示します。
世界のたばこポスター
19世紀から20世紀初頭、ポスター文化が花開いたフランスで街角を飾る芸術でもあったたばこポスターや、キャッチコピーも鮮やかな20世紀初めのアメリカのたばこポスターなどを展示します。
日本のポスター文化の変遷を紹介する展覧会「たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代」は12月14日(土)~2020年2月16日(日)の期間、東京・墨田区「たばこと塩の博物館」で開催されます。
たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代
- 会期 : 2019年12月14日(土)~2020年2月16日(日)
- 会場 : たばこと塩の博物館 2階特別展示室
- 所在地 : 東京都墨田区横川1-16-3(とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)
- 入館料 : 大人・大学生:100円(50円)、満65歳以上の方(要証明書) 50円(20円)、小・中・高校生50円(20円) ※( )内は20名以上の団体料金
- 開館時間: 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
- 休館日 : 月曜日(ただし、1/13は開館)、12月29日(日)~1月3日(金)、1月14日(火)