3月3日は曲水の宴?絵師・鈴木春信の代表作「風俗四季哥仙」から日本文化を探る!春信の魅力 その4【前編】:2ページ目
曲水の宴とは
“曲水の宴”とは紀元前の中国を発祥とし、もとは“上巳”と呼ばれる五節句の一つ、旧暦の3月3日に水辺のそばで禊をする習慣でした。
時を経て、その習慣は“禊”とともに盃を水に流すという宴に変化していきました。この3月3日は桃の花が咲く時期であることから“桃の節句”とも呼ばれています。
曲水の宴が日本で初めて行われたのは、「日本書紀」によると485年3月に顕宗天皇の主催により宮廷内において行われたことが記されています。
曲水の宴は、ゆるやかに流れる小川のほとりで出席者がそれぞれの座につき、その日の歌題を確認します。
舞台では白拍子の舞が舞われて、琴の音が流れる中、童子たちが盃にお神酒を注ぎ、盃台に乗せて小川に流します。
出席者たちはそれぞれ課題にちなんだ和歌を短冊に詠みしるして、その後、流れてきた盃を取り上げお神酒を飲むという雅な宴でした。
この作法についてはもう一つあり、盃が流れてくるまでに和歌を詠めないと、盃のお神酒を飲まなければならないというものです。これは主催者や、宴の趣向に合わせて変えていたのかもしれません。
お酒が飲みたいがためにわざと和歌を詠まずに盃のお神酒を飲んだ人もいた、という話もあります。いつの時代もそんなお茶目(?)な人はいるものですね。