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文明開化が関係!?文部省唱歌「星の世界」はなぜアノ有名な讃美歌と同じメロディーなの?

文明開化が関係!?文部省唱歌「星の世界」はなぜアノ有名な讃美歌と同じメロディーなの?:2ページ目

2つの曲のメロディーが同じな理由は?どちらが先なの?

結論から言うと、先に世の中に出たのは讃美歌『いつくしみ深き』の方でした。この曲の原題は『What A Friend We Have In Jesus』

一生を奉仕活動に捧げたアイルランドのジョセフ・スクライヴェンによって作詞され、アマチュア作曲家(本業は弁護士)のチャールズ・コンヴァースが曲をつけました。

スクライヴェンはアイルランドの裕福な家庭に生まれ、名門トリニティ大学を卒業しましたが、婚約者を事故・病気で2度も失うという悲運に見舞われました。
そんな絶望的な人生の中でもキリストを信頼する気持ちが、この歌の中には込められています。

彼は1886(明治19)年に亡くなりましたが、後にこの歌は賛美歌集に収録され、広く知られることとなりました。

一方このメロディーが日本に登場したのは、それよりも後の1910(明治43)年のこと。
この時は、詩人・劇作家・翻訳家として知られる杉谷代水(すぎたに だいすい)の作詞により『星の界(よ)』として紹介されました。

「月なきみ空に きらめく光 嗚呼その星影 希望のすがた」

昭和40年代に入ると、詩人で評論家の川路柳虹(かわじ りゅうこう)が新たに詞をつけた『星の世界』が発表され、これが現在でもよく知られています。

これらの他にも、

「母ぎみにまさる ともや世にある 生命の春も 老いの秋にも」
「何にか譬(たと)えん 尊き母を 夜すがら輝く 御空(みそら)の北斗」

などの母親を思う内容の歌詞がつけられたバージョンの日本語歌詞が存在します。

3ページ目 この現象は明治の「文明開化」が関係している?

 

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