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諸行無常の響きあり…裏切りに絶望した悲劇の貴公子・平清経の生涯(中)

諸行無常の響きあり…裏切りに絶望した悲劇の貴公子・平清経の生涯(中)

それを聞いた平大納言時忠(たいらの だいなごんときただ。清盛の義弟)は「畏れ多くも我らの奉戴せしは(※)天孫四十九世の正統、仁王(にんのう=人皇)八十一代の帝=安徳天皇におわすのだぞ。そもそもそなたらは、亡き清盛様から受けたご恩を忘れたか……云々」などと憤ったものの、惟村は馬耳東風。

(※)天孫とは天照大御神(アマテラスオオミカミ)の嫡孫・邇邇芸命(ニニギノミコト)を指し、その世代からカウントして49世代目の子孫に当たる第81代の人皇=人間の天皇陛下を意味しています。

この返答を聞いた惟義は「まったく、世は移り変わっていると言うのに、いつまでも昔のことを恩着せがましく……仕方あるまい。力づくで追い払うまでぞ」と、三万余騎の軍勢を率いて大宰府に攻め込みました。

これに対して平家一門は、家人の源大夫判官季定(げんだゆうのほうがん すえさだ)と摂津判官守澄(せっつのほうがん もりずみ)に兵三千騎を与えて迎え撃たせますが、多勢に無勢で焼け石に水。

また、平家一門の危機を知って馳せ参じた山鹿兵藤次秀遠(やまがの ひょうとうじひでとお)ら数千騎の援軍も空しく散々に蹴散らされ、海上をさすらう「根無し草」生活を余儀なくされたのでした。

清経たち平家一門は、これからどうなってしまうのでしょうか。

【続く】

※参考文献:

『ビジュアル源平1000人』世界文化社、2011年11月1日、第1刷
梶原正昭ら校注『平家物語 下 新日本古典文学大系45』岩波書店、1993年10月27日、第1刷

 

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