お坊さんってどうして「坊主頭」なの?髪のあるお坊さんがいるのはどうして?:3ページ目
剃髪しなくてよい宗派もあるの?
一方、浄土真宗系の宗派の場合は「帰敬式(ききょうしき)」という門徒になるための儀式のときには剃髪しますが、その後は有髪で生活するのが普通です。近年ではその「帰敬式」も、髪を剃らず髪の毛に刃を3度当てる儀式で済ますことが多いとか。
これは浄土真宗の、「阿弥陀仏は大変慈悲深いお方なので、その行いに関わらず誰でも救ってくださる」という考え方に基づくもの。僧侶も完全に世俗から脱するのではなく、欲を持ち続けてしまう「人間のありのままの姿」で仏道を志すべしという教えが、髪型にも現れているのです。
ちなみに『仏教ではこう考えます』の著者で浄土真宗本願寺派の住職の釈徹宗(しゃくてっしゅう)さんは、浄土真宗の僧侶にもかかわらず坊主頭ですが、その理由について著書の中で「髪が薄くなったので刈っちゃったんですね、ははは」と仰っています。
同書の中には
「たとえ有髪であっても(中略)マジメそうな髪型にしてほしいなぁ。ドレッド・ヘアーのお坊さんにお経を読んでもらっても、なんだかありがたくないもの」
という一節もありましたが、髪型に対する考え方1つにも、宗派による自由度が現れるようですね。
参考文献:『仏教ではこう考えます~人生の悩みにお坊さんがゆるり回答~』釈徹宗・著/祥伝社黄金文庫