華やかな妓楼の壮絶な裏側!江戸時代の遊女はどんな病気にかかりやすかったの?:3ページ目
嫌な客を断るための仮病の場合も!?「癪(しゃく)」
時代劇に「持病の癪が…」とうずくまる若い女性がよく登場しますが、遊女もこの「癪(しゃく)」をよく患っていたようで、川柳に詠まれています。
一分出し 夜の明ける迄 癪を押し
(遊女は、客が嫌だと仮病の「癪」になる)
傾城の癪 人を見て おこる也
(遊女は、嫌な客には「癪」を理由に同衾を拒否する)
「癪」とは、原因が分からない痛みを伴う内臓疾患を一括した俗称で、現代なら胃痙攣や胆石症、胃痛、虫垂炎(盲腸)、生理痛などの腹痛すべてを指しました。
川柳によく詠まれているのは、遊女が嫌な客を断るときに「癪」を仮病に使っている様子ですが、遊女は若い女性ですから生理痛に悩むことは実際多かったでしょうし、仕事のストレスから胃が痛むこともあったことでしょう。
いずれにせよ、遊女には
「年季は最長10年(客をとらない禿時代は年季のうちに入らない)、27歳(数えで28歳)で年季明け」
という原則がありましたが、現実には年季明けを迎え晴れて妓楼から出られる遊女は、決して多くはなかったのです。