大切なあなたといつまでも…日本の国歌「君が代」のルーツと深い愛情を紹介:3ページ目
国歌に込められた過酷な歴史
さて、日本の国歌「君が代」は紹介した通りラブソングですが、各国の国歌はどのようになっているのでしょうか。
ここではお隣の中国、そして太平洋を隔ててアメリカの国歌(和訳)を、それぞれ紹介したいと思います。
【中国の国歌・義勇軍行進曲】
起て!奴隷となることを望まぬ人びとよ!
我らが血肉で築こう新たな長城を!
中華民族に最大の危機せまる、一人ひとりが最後の雄叫びをあげる時だ。
起て!起て!起て!
我々すべてが心を一つにして、敵の砲火に向かって進め!
敵の砲火に向かって進め!
進め!進め!進め!
【アメリカの国歌・星条旗】
おお、見えるだろうか、夜明けの薄明かりの中
我々は誇り高く声高に叫ぶ
危難の中、城壁の上に雄々しく翻る
太き縞に輝く星々を我々は目にした
砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中
我等の旗は夜通し翻っていた
ああ、星条旗はまだたなびいているか?
自由の地 勇者の故郷の上に!※全4番、1番のみ。
中国とアメリカ、どちらも戦争を想起させる歌詞となっていますが、特に彼らが好戦的という訳ではなく、苦しい闘いの中で自由と独立を勝ち取った先人たちへの感謝が込められており、過酷な歴史を次世代に受け継ぐことで、平和の大切さを伝えていこうとしているのです。
そうした厳しい歴史的背景に思いを馳せると、どの国の国歌に対してもリスペクトの気持ちが湧いてくることでしょう。
終わりに
ところで、君が代は日本の国歌と言われますが、君が代が正式に日本の国歌となったのは何と平成十一1999年8月13日。「国旗国歌法(国旗及び国歌に関する法律。法律第127号)」の施行まで、日本には正式な国歌がなかったことになります。初出が平安時代だと言うのに、意外ですね。
ともあれ、これまでもこれからも、君が代は大切な人の末永い幸せを願う日本のテーマソングとして、広く親しまれるよう願っています。
来年開催予定の東京オリンピックでも、たくさん歌われて欲しいですね。
※参考文献:
小沢正夫・松田成穂『古今和歌集 新編日本古典文学全集』小学館、1994年10月25日
小田切信夫『国歌君が代の研究』平凡社、1966年