遊女の誠はどこに?神罰をも恐れない吉原遊女の客人を落とすテクニック
前回は、吉原遊郭で行われていた『心中立』略して心中と呼ばれた6つの行為について『断髪』と『放爪』の2つを紹介しました。
嘘泣き、断髪、爪剥がし!?吉原遊郭の恒例、遊女とお客の駆け引きバトルは凄まじい
吉原遊郭にはお客様に“非日常の愉しみ”を提供するにあたって、様々なしきたりがありましたが、変わっているのが様々な駆け引きでした。ここでは、お客人のアタックとそれに応じる遊女の多彩なる駆け引きの数々を紹…
今回は、『起請文(きしょうもん)』と『入れ墨(いれぼくろ)』を川柳や都々逸を交えて紹介していきます。
神様をも巻き込んだ大騒ぎ!起請文とカラスの関係は?
吉原に限らず、遊里で多く使われた心中の手段としてメジャーなのが『起請文』。略して起請、熊野誓詞とも呼ばれました。和歌山の熊野神社で配布される3枚の神札に「我らは二世を契った仲です」との文章を記して誓いの血判を押し、男女が1枚ずつ取って残りを神社に納める慣わしがありました。
誓いに背くと熊野神社の使いであるカラスが死んでしまい、背いた者も吐血して死んだ後、地獄行きになるという厳しい罰があると言われたのだから、これは守らざるを得ません。しかし、そうした神罰をも畏れないのが吉原遊郭のパワーでした。
川柳に『熊野では 今日も落ちたと 埋めてやり』と詠まれているように、余りにも起請が破られることを皮肉った作品があったほど。いつの間にか75枚(客人25名分)までは神仏も咎めないと言う信仰が生まれたりと、神罰を回避する方法が生まれていたのです。
こうした世の風潮を巧みに歌いこんだ都々逸こそが、高杉晋作の『三千世界の烏を殺し、ぬしと朝寝がしてみたい』(都々逸とは?)という傑作なのですが、これでは配下を死なせねばならない熊野の神様と犠牲者になるカラスが困りますね。
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