燃え盛る炎の中へ…決死の覚悟でみんなを救った奈良時代の英雄・川部酒麻呂のエピソード
火災発生!そんな時、皆さんは適切な行動をとれる自信がありますか?
とりあえず逃げ出すのが一番ですが、地上であればともかく、海の上ではそう簡単には逃げ出せません。
何も考えずに飛び込んだ先に何が泳いでいるか分かりませんし、地域によっては凍死のリスクもあるでしょう。
となれば、ここは是が非でも火災を食い止めねばなりませんが、一刻一秒を争う場面で、最適な判断力と迅速な行動力が求められます。
今回は奈良時代、決死の行動でみんなを救った英雄・川部酒麻呂(かわべの さかまろ)のエピソードを紹介。彼の勇気を、是非とも見習いたいものです。
決死の覚悟で炎の中へ!
川部酒麻呂は生年不詳、肥前国松浦郡(現:佐賀県と長崎県の北部一帯)の出身。船乗りとしての腕前が認められ、天平勝宝4年(752年)に第4船の操舵手として遣唐使に同行しました。
さて、天平勝宝6年(754年)に遣唐使が帰国する航海中、突然船尾で火災が発生。
「総員防火かかれ、延焼を防げ!」
折しも船は追い風を受けており、このままでは火災が船首に向けて燃え広がってしまいます。
「ダメです、火がこっちに向かって防ぎきれません!」
風に煽られて火災はどんどん燃え広がり、このままでは大海の真っただ中で沈没を免れません。
「風向きさえ変われば……」
しかし、そう都合よくは行かないのが世の中というもの、ここでもやはり現実は非情です。
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