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次々と命を落とす乗組員…10年に及ぶサバイバル生活。江戸時代の漂流民・大黒屋光太夫の生涯 その2

次々と命を落とす乗組員…10年に及ぶサバイバル生活。江戸時代の漂流民・大黒屋光太夫の生涯 その2:2ページ目

島から脱出

彼等にはたった一つ、希望がありました。それはロシア人から聞いた「3年経てばロシアの船が迎えに来る」という言葉でした。島のロシア人は3年交代で島に滞在しており、彼等の厚意で次に船が来たら光太夫達も一緒に乗せてもらえる事になったのです。そして運命の3年目、本当にロシア船は迎えに来ました。

助かった!

一同の狂喜乱舞もつかの間、天候が悪化し、希望の船は目の前で難破。意気消沈した光太夫たちは、もはや船を待つ事を諦め、ロシア人たちと手を組んで0から船を作る事を決めたのでした。

難破船などから使えそうな釘や流木などの廃材を集め、ようやく彼等はアムチトカ島を抜け出したのです。

漂着から4年。生きるか死ぬかのサバイバル生活の中で、一同の顔はひどく年を取ったような苦渋に満ちた表情に変貌していました。

(その3につづく)

参考文献:山下恒夫 『大黒屋光太夫―帝政ロシア漂流の物語』岩波新書 岩波書店

 
 

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