武士も人間関係に一苦労?武士道のバイブル「葉隠」に書かれた他人の欠点改善ノウハウを紹介:2ページ目
意見の仕様、大いに骨を折ることなり……
他人の欠点を指摘してあげるのは、本人のみならずコミュニティひいては社会のためになることですが、その実践は意外に大変なものです。
確かに、他人の欠点はよく見えるし、それを口に出すのは容易いのですが、多くの者は「お前のために欠点を直してやろう」と上から目線で意見してしまいがちです。
しかし、そのようなアプローチはただ相手に恥をかかせるばかりで誹謗中傷と何も変わらず、却って相手を意固地にさせてしまうかも知れません。
欠点の指摘が単なる自己満足や憂さ晴らし、あるいはネガキャンでなく、本当に相手のことを思っているなら、もう少し工夫が必要なのです。
まずは相手の性格をよく知り、相手の受け入れやすいアプローチを熟慮した上で、常日頃から自分の言葉を信じて受け入れてもらえるような人間関係を構築する必要があります。
また、話を切り出すタイミングも重要で、相手の欠点を見つけたその場で思いつきに言うより、例えば手紙に書くとか他愛ない雑談の最後にちょっと話したり、あるいは暇乞いの折にでも、自分の欠点をカミングアウトするような形で、言外に気づいてもらうのがいいでしょう。
その時も、言葉づかいはあくまでもソフトに、欠点だけでなく先ずは相手の美点を多く褒めるのがセオリーです。
欠点を指摘するのは相手のため以上に主君のため、天下のための奉公と心得て、多少の骨折りであっても相手の面子を最大限に重んじることで、みんながWin-Winになれるのです。
※『葉隠聞書』第一巻 一四より意訳。
まとめ
自分の欠点に気づかせてくれる指摘は有り難いものですが、それを指摘する側が態度に出してしまうと、要らぬ摩擦を生じてしまうもの。
欠点を指摘するのも直すのも、すべて社会のためという謙虚な姿勢で、互いを高め合っていける人間関係を、現代の私たちも目指していきたいものです。
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