黄砂は平安時代から飛んでいた!朧月夜や春霞などの風流な季語たち、実は黄砂が原因だった:2ページ目
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和歌の季語にも
「朧月夜(おぼろづきよ)」は、春の夜に月がぼんやりと霞んでいる様子を表していますね。なんとこの風流な名詞、月が霞む原因が黄砂なんです。
『源氏物語』にも、朧月夜という登場人物がいるほどです。朧月夜は右大臣の娘で身分が高く、朱雀帝の寵愛を受けましたが、大胆にも光源氏と逢瀬を重ねてしまう女性です。
宮中のお騒がせという点で、厄介者の黄砂と被るとこがありそうです。
また、日の光が陰るほどの黄砂を「日薄食」「月薄食」と呼び、日食や月食とは区別されていました。
黄砂は「春霞」とも呼ばれ、春の季語として和歌に親しまれてきました。
・春霞たなびく山の桜花うつろはむとや色かはりゆく
(題・読人不明古今和歌集 巻第二 春歌下)
・春霞たなびきにけり久方の月の桂も花や咲くらむ
(紀貫之 後撰集18)
また、「霾(ばい)」や「黄塵」という表現も。江戸時代の書物などには「霾る(つちふる)」と記載されています。
いずれにしても春の季語として扱われています。
黄色い砂などと呼ばず、風流に一句詠み詠み季節を感じてみる・・・なんて、現代では難しそうですね。
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