肩書よりも「あなた」が大切―京都五山の第四位・東福寺にて、和尚と府知事の友情エピソード:3ページ目
まとめ
このエピソードは、敬冲が北垣(及びその従者)の「肩書ありき」な交際を暗に否定し、あくまでも互いの「本質」と向き合いたい意思を伝えるものです。
私は、あなたが「京都府知事」だとか「大書記官」だから親しくしているのではなく、あなたが昔から変わらない「晋太郎」さんであることこそ、何より大切に思っている。
いかなる地位や肩書も、そんなものはあくまで天下公益に供すべき「道具」「手段」に過ぎず、いつか立ち去る仮住まいも同じ。
現役時代は出世して、地位や肩書を並べて大威張りだったのに、定年退職した途端、途方に暮れてしまう方をよく見かけますが、いつまでも変わらぬ人間の「本質」を、改めて見据えて頂くきっかけとなりましたら幸いです。
※参考文献:
蔡志忠『マンガ 禅の思想』講談社+α文庫、1999年4月14日 第2刷