同じ名前でも、場所や時代によって全く違うものになってしまった食文化は日本に多く存在し、西洋起源とされる天ぷらや中華料理をモデルにしたギョウザやラーメンなどがあります。
しかし、日本国内でも地域によって全く非なるものになった和菓子があり、それが本項で紹介する『くず餅』です。
透き通る見た目とさわやかな甘みが夏向け、関西風くず餅
京菓子などでも有名な関西風くず餅(葛餅)は、吉野葛に代表されるクズと言う植物の根から採取したでんぷんで、日本の伝統食品の一つでもある葛粉から作られる餅菓子です。
また、関西の一部ではくず餅の中に餡を入れた物(全国的には葛饅頭と言う呼称が一般的)をくず餅と呼ぶこともあります。
そのでんぷんを水と砂糖と共に火にかけ、トロトロとしたものを練っていくと透明に近い色になり、プルプルした食感が特徴のくず餅が出来ます。
葛粉と砂糖さえあればお菓子作りの上手な人なら手作りできることもありますし、手作りキットも売られていたりする関西風くず餅は、時代を超えて人気の和菓子でもあります。
が、その葛粉(特に純粋な葛粉である本葛)が手に入りにくくなっており、芋などのでんぷんが使われることが多くなっているのも現状で、素材を確保するのが大変なお菓子でもあるという悩みを抱えています。