将棋盤の裏に刻まれた「血溜まり」に隠された武士たちの覚悟:3ページ目
真剣勝負に口出し無用!
他にも将棋は「口出し無用」として、口出しした者の首を刎ねてこの凹みに載せる習わしがあったとも言われます。
しかし、それだと対局が終わるまで将棋盤を引っくり返す訳にいかず、首を載せるのを待たねばなりません。
どうせ戦で殺されたと思えば、自分の命と引き換えに口出しをしても、それで将棋≒戦に勝てるのであれば手柄となるため、両陣営が口出し合戦を始めかねず、実際のところは疑問です。
ついでに将棋盤の足ですが、あの独特なデザインは「山梔子(クチナシ)」の花を表しており、勝負に「口(出し)無し」という駄洒落だそうです。
しょうもない、とも思いますが、真剣勝負の前なればこそ、駄洒落を笑い飛ばすくらいの余裕で臨むことが必要なのかも知れません。
将棋というと、つい盤上で繰り広げられる譜面(戦い)にのみ目をとられがちですが、将棋盤の下にも武士たちの覚悟やユーモアが込められていると思うと、その独特な価値観が偲ばれようというものです。