食事の前後にちゃんと言ってる?「いただきます」「ごちそうさま」の本当の意味:3ページ目
まとめ・食事は神≒自然の恵み
以上、「いただきます」と「ごちそうさま」の意味について紹介して来ましたが、最後に江戸時代の学者・本居宣長(もとおり のりなが)の詠んだ食前食後の歌を紹介したいと思います。
「たなつもの 百(もも)の木草(きぐさ)も 天照(あまてら)す 日の大神の 恵(めぐみ)得てこそ」
「たなつもの」とは「田のもの、種からとれるもの」つまり日本人の主食であるお米(稲)を意味し、その他たくさんの収穫物(百の木草)はすべて、天から万物を照らす太陽の神様=天照大御神(アマテラスオオミカミ)の恵みなのだ、というメッセージです。
「朝宵(あさよい)に もの食うごとに 豊受(とよう)けの 神の恵みを 思え世の人」
昔は朝と夕の一日二食が基本でした。豊受の神とは伊勢の神宮(外宮)はじめ、全国各地でお祀りされている食べ物の神様・豊受大神(トヨウケノオオカミ)のことです。
これらに共通するのは「人間が生かされているのは、すべて神様≒自然の恵みあってこそ」という教訓です。
いくらお金があったって、食べるものが自然からとれなければ人間は生きられません。
世の中が便利になって、自分で食べ物を調達する機会が少なくなったことで「おカネさえ出せば、何でも好きなだけ手に入る」という傲慢さに警鐘を鳴らし続ける言葉として、日々食事の前後に行われる
「いただきます」
「ごちそうさま」
の正しい意味を次世代に受け継いでいくことこそ私たち大人の務めであり、子供たちへの愛情だと思うのです。