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世界平和を願った「西郷どん」その(現代の政治家に足りない?)政治思想が凝縮された「西郷南洲遺訓」とは

世界平和を願った「西郷どん」その(現代の政治家に足りない?)政治思想が凝縮された「西郷南洲遺訓」とは

「西郷どん」の予見した未来と、彼が遺した政治思想

さて、『西郷南洲遺訓』は41か条の教訓と2か条の追加、問答集と補遺によって構成され、現代でも十二分に通用する(むしろ現代の政治家に足りない?)政治思想が凝縮されています。

そのすべてを網羅するのはさすがに大変なので、いくつか印象的なものを紹介しますが、その一つ一つに厳しい国際情勢を直視し、日本の独立を死守する危機意識に満ちており、まるで150年後の未来(現代の世界情勢)を予見しているような鋭さが感じられます。

浮世絵・鹿鳴館の様子。

「八 廣く各國の制度を採り開明に進まんとならば、先づ我國の本體を居ゑ風教を張り、然して後徐かに彼の長所を斟酌するものぞ。否らずして猥りに彼れに倣ひなば、國體は衰頽し、風教は委靡して匡救す可からず、終に彼の制を受くるに至らんとす」
※意訳:諸外国からすぐれたシステムを採り入れる時は、まず我が国のあるべき姿・ビジョンを明確にしておいてから、それにマッチする部分を取捨選択すること。そうしないでやたらと外国かぶれに走ると、我が国は衰えてモラルが混乱し、最後は植民地のようになってしまう。

19世紀の版画・奴隷貿易の様子。

「一一 文明とは道の普く行はるゝを贊稱せる言にして、宮室の壯嚴、衣服の美麗、外觀の浮華を言ふには非ず。(中略)實に文明ならば、未開の國に對しなば、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導く可きに、左は無くして未開蒙昧に國に對する程むごく殘忍の事を致し己れを利するは野蠻ぢやと申せしかば、其人口を莟めて言無かりきとて笑はれける」
※意訳:文明とは人々の高いモラルに対する評価であって、決して立派な建物と豪華な服とか、そういう見てくれの良さではない。(中略・ある人と「西洋は文明か野蛮か」と議論をしていて)西洋列強が本当に文明国家なら、未開の国や民族に対して愛情と敬意をもって接するべきなのに、(現実には大航海時代以来、アジアやアフリカ、ラテンアメリカ諸国に対して)弾圧や搾取ばかりしているではないか、と論破した。

「一七 正道を蹈み國を以て斃るゝの精神無くば、外國交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮し、圓滑を主として、曲げて彼の意に順從する時は、輕侮を招き、好親却て破れ、終に彼の制を受るに至らん」
※意訳:たとえ国家が滅亡してでも正義を貫く覚悟がなければ、外交は上手く行かない。相手国が強いから、と事なかれ主義で媚びていると、バカにされてかえって友好関係を損ない、最後は支配されてしまう。

……等々、帝国主義が蔓延する弱肉強食の国際情勢にあって、あくまでも日本のあるべき姿、すなわち道義国家としての理想を貫く姿勢と覚悟こそ「西郷どん」の真骨頂と言えるでしょう。

3ページ目 「敬天愛人」の精神・真の国際協調を求めて

 

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