江戸時代のツケ事情。掛け売りが一般的なお江戸の盆暮れは借金の取り立てが大忙し!:2ページ目
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一方、ツケで購入した側も大変。もともと信用のある相手なので身元は確かなはずですが、その年の収入はいろんなことに左右されるでしょう。たとえば大工などは怪我や病気、天気にも左右される仕事です。運悪く収入が少ない年だってあるわけで、そういうときはたまったツケなど支払っている場合ではないのです。
そういうわけで、大晦日には掛け取りの攻防が繰り広げられていたというわけです。
落語や季語になるほどよくある江戸の風景だった
この掛け取りの貸した側・借りた側の攻防は江戸の大晦日の風物詩であり、冬の季語となっているほか、「掛取万歳」という落語にもなっています。
「大晦日箱提灯は怖くなし」という川柳がありますが、箱提灯とは武士が夜間外出時に携帯している提灯のこと。大晦日ばかりはこれを持っている怖い武士も怖くないよ、という川柳です。
借金を抱える人にとって、刀を持った武士よりも掛け取りのほうがよっぽど怖い存在だったことがよくわかりますね。
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