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東洲斎写楽も浮世絵に描いた、謙虚すぎる歌舞伎役者・5代目 市川團十郎の生き方 前編

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庶民の共感を呼んだ「楽しみ」

そんな白猿は、「花道つらね」という名前で狂歌をたしなんでいました。腕は相当なもので、大田南畝ら有名狂歌師も彼と交流を持ち、その実力を買っていました。45歳の時には狂歌集「吾妻曲狂歌文庫」でこんな狂歌を披露しています。

「 楽しみは春の桜に秋の月 夫婦仲良く三度食う飯」

なんとも庶民的で共感を呼ぶ歌です。

彼の幸せは、花道で客の視線を浴びる事でも歌舞伎界の大スターである事でもなく、すぐそばにあるささやかな日常だったのかもしれません。

参考文献:伊原敏郎「近世日本演劇史」早稲田大学出版部 国立国会図書館蔵『日本随筆大成』第二期第七巻『蜘蛛の糸巻』日本随筆大成編輯部

 

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